拡大を続けるBRICSは米欧への対抗軸になり得るのか

BRICSの中心国はいうまでもなく中国、ロシア、そしてインドです。

ロシアは2022年2月にウクライナへ侵攻。

世界各国から非難を浴び国連決議による制裁を受けています。

そのロシアを支援しているのが中国であり、インドは非難こそしながらもロシアからの武器購入など一定のつながりを保っています。

一方でロシアを含めたBRICSは世界中を敵に回しているわけではありません。

公然とそして確実に仲間を増やし続けているのです。

●拡大後初のBRICS首脳会議開催

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2024年10月23日、ロシアのカザンでエジプトやイランなどが加わって拡大後初の首脳会議が開かれました。

その中で、議長国となるロシアのプーチン大統領が「30ヵ国以上がBRICSとの関係強化の意思を示している」と述べたのです。

世界経済は欧米と中国・ロシアを軸にした勢力との分断が広がっています。

当然、中国とロシアはBRICSを中心とした勢力拡大を計っています。

それが、今回カザンで開かれたBRICS首脳会議であり、すでに今年の1月に新たに4ヵ国が加盟して9ヵ国になった拡大BRICS初の首脳会議となったのです。

※初期構成国はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ
※4ヵ国はエジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、エチオピア、イラン

そして、今回のカザンでの会議は36ヵ国が参加。

そのうちの22ヵ国は首脳級が出席しています。

もちろんG7参加国はいませんが、G20に連ねている国々が参加しており、欧米やG7に次ぐ第2勢力としては十分な陣容となりました。

●ロシアの狙い

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36ヵ国が参加したといっても全てがBRICSに加盟するわけではありません。

BRICSに参加したい国、参加表明している国など、多数存在しているようですが、現在は拡大BRICSとして9ヵ国の構成となっています。

その中でロシアがロシア国内の都市カザンでBRICS首脳会議を行ったという事実こそがロシアの狙いでした。

というのも、2022年のウクライナ侵攻以来、ロシアは世界から孤立しているという風評を打ち崩す狙いがありました。

プーチン大統領も会議の中で「BRICSのダイナミックな発展、影響力の高まりを目撃している。我々は膨大な潜在力を持っている」と、談話を発表しています。

実際に、経済力では拡大BRICSがG7を圧倒しているのは間違いなく、ロシアから見て、米国やG7こそが「世界で孤立している」と発信する狙いがあったのです。

ウクライナ侵攻で世界から国連決議で世界から制裁を受けているとされていますが、侵攻以来経済成長を続けているロシアの現実を見ると、ロシアが強気なのも頷けます。

それもこれもBRICSが後ろにいるからこそです。

もっとも、BRICS全体が諸手を挙げてロシアを支持しているわけではありません。

むしろ、ロシアを全面的にバックアップしているのは中国とイランくらいであり、インド・ブラジル・UAE・エジプトなどは、対米関係も依然として良好です。南アフリカは中道でエチオピアがややロシア寄りといったところです。

●パートナー国の創設

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BRICSも一枚岩ではありません。

イデオロギーの違いはもちろん、経済規模も違いますし、なによりもBRICSは実利を優先したつながりといっていいでしょう。

そのような中で、BRICSのさらなる拡大を目指すロシアが打った一手がパートナー国の創設です。

タイやトルコ、インドネシアなどがBRICSへの参加表明を行っていますが、これらの国を含めた13ヵ国をまずはBRICSのパートナー国としたのです。

※13国のパートナー国は、トルコ、インドネシア、アルジェリア、ベラルーシ、キューバ、ボリビア、マレーシア、ウズベキスタン、カザフスタン、タイ、ベトナム、ナイジェリア、ウガンダ

パートナー国にはトルコやインドネシアといったG20国も含まれています。

さらにそれに準ずる国々も多くパートナー国になっているのです。

拡大BRICSの9ヵ国だけでもG7の経済規模を大きく上回っているので、パートナー国を含むとさらに経済規模の差は広がっていきます。

●意思決定が困難になるとの指摘も

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拡大BRICS9ヵ国は必ずしも一枚岩ではありません。

そこにパートナー国13ヵ国を加えると、BRICS全体での経済規模はさらに拡大しますが、意思決定を困難にするのは間違いありません。

先述したように実利優先で集まった、言うなれば烏合の衆に近いものがあります。

ロシア・中国・イランといった反米色の強い国もいれば、インド・ブラジル・UAEといった親米の国々もいます。

ロシアの意図するG7や欧米との対決色を色濃くするには、考え方の違う国々が集まりすぎた印象です。

経済規模は凌駕されていても、先進の技術力はG7が握っているのも、対抗軸になるには弱すぎると考える向きもあります。

アルゼンチンの離脱やサウジアラビアが参加を見送ったなどの情報もあり、結束が強まった印象がそれほど見られなかったのが今回のBRICS首脳会議の印象とされています。

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